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執筆者の写真HANAICHI

大鳥の冬




今年の冬は、異常だった。

例年通りであれば、3メートルほども雪が積もる大鳥。

なんと今年は60センチしか積もっていないらしい。


それでも、大鳥の集落のおじいちゃん、おばあちゃんたちは

変わらず、冬の間の仕事をもくもくとしている。


笹巻きや、味噌作り、どぶろくまで。


ここに来るたび、

昔からここの人々が続けてきた「手仕事」の豊かさを知る。


何もせずにじっと外を眺める、静かな時間の豊かさを知る。


誰かとちゃぶ台を囲んでご飯を食べる時間の尊さを知る。



山の暮らしをする人は、確実に少なくなってきていて

誰かが亡くなり、誰かが山を降り

少しずつ、失われていく


でも、それを受け継ごうとする友人たちがいて

この土地の豊かさを知った私がいて


そして、また私が連れてきた友人たちが

この土地の豊かさに目を見張る


そうやって、少しずつ

少しずつでいいから


「豊かなもの」を

私たちは

受け継いで行きたい


世の中に溢れる「豊かさ」ではなく


私たちがこの土地に教えてもらった「豊かさ」を。






Photo by Ben Matsunaga










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