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執筆者の写真HANAICHI

春の匂い





昨年の2月、私は大鳥の雪の上で裸足で踊っていました。

ももちゃんとはかせはカメラを抱え、田口くんはドローンを飛ばしてくれて、

針のように足に刺さる雪でびしょ濡れになった私を、その後温泉に連れて行ってくれました。

仮面が欲しいという私のお願いに、嶋尾さんはいくつも仮面を彫ってくれて、その後個展もひらきました。

美加さんはいつも、そんなやりたい放題な私が帰ってくると、美味しいご飯を作ってくれました。


その前の12月にはひろみと大鳥の自然の音を録音し、私は大鳥の体育館でポツリとたたずむピアノと会話をしました。

冬のしんと静かな空気の中、楽曲「いのちのめぐり」は生まれました。

まるで遠く山から響いてくるメロディーのように、自然と私の頭の中に響いてきて、ピアノの音になったのでした。


ametsuchiの楽曲のために、にっしーはドラムを練習してくれました。コロナで落ち込んでないか、と電話してくれました。

いつも難題をふっかける私に、ひろみはいつも真摯に向き合ってくれて、大鳥で録音した自然の音、ピアノ、楽曲の編集をしてくれています。


Benさんは雪の中、大鳥まで訪ねにきてくれて、素敵な大鳥の写真をたくさん撮ってくれました。

おくりは私の踊りをはじめて受け止めてくれた人で、私と森の会話を、レンズを通して見守ってくれました。



2020年の音楽祭は中止になり、HANAICHI第一弾となる舞台上演は延期になりました。

それでも、私たちはずっと深く潜り、浮上できる時を待ち、水面下、山椒魚のようにゆらゆらと、いや情熱を持ってうごめいています。


今年もまだまだ、先は見えないけれど

それでも、確かに、進んできていることがあって、

温めてきたものがあって、

それは、私に生きる力を与え続けてくれています。


春が来ます。


いつもとは違う春。


それでも、いつものように、季節は巡り、命は芽吹き、

また、生まれ出てくる春。







この映像は、私が山形の大鳥で記録した映像や、桃ちゃんが森の中で撮ってくれた映像を

私が大鳥小学校の体育館で弾いた即興のピアノ演奏と、自然の音をミックスしひろみが編集してくれたものに合わせて

桃ちゃんが編集してくれたものです。



主宰の嶋尾さんはじめ、大鳥音楽祭のスタッフのみんなは、

どんな形で届けられるか

寄り添い、一緒に考えてくれています。


私の表現は、2016年から始まった旅、いくつもの山形の友人たちとの出会いの中で、ときには迷い、もがきながら、それでもすくすくと育まれてきました。


今年、また新たな形で、仲間たちとものづくりできることを、心から嬉しく、そして心強く思っています。


進み続けること。


どんな形でも、諦めずに

前を向き、足を踏み出し続けること。


今、その有り難さを噛み締め、

立っています。



2021.2.18


HANAICHI 主宰   菊地もなみ



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HANAICHI 舞台作品vol.1

大鳥(山形県鶴岡市)



映像: 桃与 伊藤卓朗 菊地もなみ

   Ben Matsunaga 栗田英樹

   田口比呂貴


音楽: ametsuchi(松浦央実 菊地もなみ)


編集: 桃与



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Photo by Hideki Kurita






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